相続に関して司法書士・行政書士の職務上請求の使用範囲

最近、以前からの継続中の仕事は山積みなものの、新規の方のご相談が少なめだったのですが、本日は新たに4件もご相談のご予約を頂きました。

司法書士・行政書士という仕事は、本当にいつお仕事が入るか全くもって予測不能です。なんにしても有り難いことで感謝多謝!!!です。

うちの事務所では、普通の司法書士業務だけではなくて、韓国語の翻訳業務や戸籍取得も行っているので司法書士・行政書士業務を頼まなくても、韓国戸籍の取得と翻訳をご依頼頂く際に相続の相談されることが多々あります。

今回も、被相続人が韓国籍ということで遺産相続の手続きに必要となる戸籍の取得と翻訳を受任しています。また、遺産分割協議書の作成もすることになります。

ただし、この相続財産である不動産については、別の相続人の方が手続きを進めるらしく、今回は当事務所では登記のほうはしません。

 

相続人の方はほとんどが帰化されていて、現在戸籍などの取得を当事務所がするには通常「職務上請求書」という、特定の士業の人だけがその業務に必要な範囲でのみ、日本の戸籍や住民票を取得できる様式を利用します。

前記のとおり、今回は登記を受任していませんので、司法書士としての職務上請求は使用できません。行政書士として遺産相続手続き、遺産分割協議書作成の受任として行政書士の職務上請求書を使用することになります。

司法書士としての実務経験のほうが長いので、つい司法書士の職務上請求を書いてしまう癖があり、間違えて1枚無駄にしてしまいました。(勿体ない( ̄ー ̄;←ただじゃない)

 

職務上請求の利用については、かなり制限があり、しかも正当な方法で使用しないと、厳しい懲戒が下されます。

この利用には神経を使います。微妙なときは、面倒ですが直接委任状をもらって一つ一つとるしかありません。

 

ですが、たまに行政書士のWEBページで、「行政書士は職務上請求で戸籍が取れるから相続人調査が可能です」のような内容の記載を見ますが、これは誤解を招く表現かと思います。

 

目的行為が行政書士業務に属するかどうかで判断するべきで、その依頼がない限り職務上請求は使用できないからです。

 

司法書士にとっても同様です。登記申請代理や申請書作成依頼の受任を受けていないのに、遺産分割協議書作成のために司法書士の職務上請求を使うことはできません。

 

司法書士の月報を見ていますと、10年以上も前に不正に職務上請求を使った件で懲戒を受けている例もあります。しかも、その頃には今ほど世間の目も厳しくなく、普通の司法書士事務所でも行っていただろう内容でしたが、懲戒も重いものです。

士業たるもの、しっかり自覚をもって一つ一つの行動を考えてしないといけないと気を引き締めています。