外国人の住民票制度開始後の登記実務について

大阪の司法書士・行政書士の まえかわ です。

まもなく、外国人の住民票が作成され、外国人登録制度が廃止されます。

 

具体的には、平成24年7月9日より外国人の住民票制度開始です。

司法書士としては、これに伴った様々な手続きについての実務上のことが気にかかりますが、大阪司法書士会より通知がきましたので、最後に引用いたします。

簡単に重要な部分のみ書きますと、登記実務上での平成24年7月9日以降の住民票がでる外国人の住所の証明としては、外国人登録原票記載事項証明書(または外国人登録原票の写し)ではだめで、住民票を付ける必要があるようです。

外国人が登記上の権利者になる場合には、住民票のある役所で日本人同様に住民票がでるようになりましたので、同世帯で外国人と日本人がいるケースでは、今までは日本籍の家族については住民票、外国人の家族については外国人登録原票記載事項証明書と別々に発行していたものが、両方が必要な場合は1枚で出てくるというメリットはあります。

ところが、司法書士にとって知らなければ致命的になりかねないのは在日の外国人が不動産の売買の義務者になる場合です。私自身もものすごく気が重く、これで失敗する司法書士が少なくないだろうと考えると胃が痛いです・・・

売買をするときは、「所有権移転登記」をしますが、売主さんが登記簿上の住所から移転している場合は、まず現在の住所に登記名義人としての住所を変更しておかなければ、「所有権移転登記」をすることができませせん。

この住所変更の登記を普通司法書士は、「名変(めいへん)」と呼んでいますが、これをするためには登記簿上の住所から現在までの移転の経歴をすべて繋げて証明する必要があります。

日本籍であれば戸籍の附票や住民票である程度の期間の過去の移転を証明することができ、保存期間が満了している場合には、代替手段として本人の上申書と権利証等を添付する等で実務上は名変をします。

一方、外国人については今まであれば外国人登録原票記載事項証明書を取得すればある程度の情報は住所管轄の役所で発行されましたので、それに載っていればOK、出てこない場合は役所から法務省へ請求してもらう(これには2週間~1か月程度かかる)流れでした。

ところが、今後は住民票では基本的に7月9日以降の移転しか載ってきませんので、それ以前の移転の情報については有無を言わず法務省への外国人登録原票に載っている該当情報の本人から直接の開示請求という形でする必要があり、その取り寄せにはかなりの時間を覚悟しなければなりません。

売買の決済について、このことを知らずのほほんと構えていると、直前になって決済が不可能になるということも普通に考えられますので、司法書士のみなさまはこの点については、重々ご留意頂くべきことを声を大にしてお伝えしたいです。

※なお、ここまでの情報はあくまでも現時点までで私が個人的に調査した内容ですので、ご参考程度にお願いします。この情報を基に生じた問題等には一切責任を負えません旨申し添えます。

 

以下大阪司法書士会からの情報(元々日本司法書士会連合会からの情報)を引用いたします。

 

日司連から、下記のとおり通知がありましたので、お知らせいたします。

             

1.出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律及び住民

    基本台帳法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記における添付情報の取扱いについて(事務連絡)(平成24年6月6日付法務省民事局民事第二課

  補佐官事務連絡)

    本年7月9日から施行される住基法改正法による改正後の住民基本台帳法の規定により、中長期在留者及び特別永住者を含む一定の在留資格を有する外国

  住民については、住民票が作成され、その写しが交付されることとなります。

  これに伴い、不動産登記の申請において添付情報となる、外国人の氏名又は住所について変更等があったことを証する情報の取扱いについては次のとおり

  となります。

  (1)申請人等が中長期在留者又は特別永住者である場合

     住民票の写しの提供を求める。

  (2)申請人等が上記以外の外国人である場合

     当該外国人の本国の政府機関等が発行した当該本国における住所の証明書、日本における当該外国人の本国の在外公館が発行した日本の住所の記載

     がある在留証明書等の提供を求める。

     なお、当該申請人等が保有する外国人登録証明書については、入管法改正法施行日(7月9日)から3月以内に法務大臣に対して返納しなければならない

     とされているため、その提供があった場合でも、当該外国人の氏名又は住所について証する情報の提供があったものとして取り扱うことはできない。

 

2.出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律等の施行

  に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)(平成24年6月6日付法務省民二第1417号)

  本年7月9日から施行される入管法改正法により、外国人登録法が廃止され、従来の外国人登録証明書及び外国人登録原票に代わるものとして、中長期在

  留者に対しては在留カードが、特別永住者に対しては特別永住者証明書がそれぞれ交付されることとなります。

  これに伴い、登記申請の際に資格者代理人が提出する本人確認情報の取扱いは次のとおりとなります。

  (1)資格者代理人が申請人について確認をするときの不動産登記規則第72条第2項第1号に掲げる方法において提示の対象となるものは、運転免許証、

     住民基本台帳カード、旅券等又は運転経歴証明書のほか、在留カード又は特別永住者証明書となる。

  (2)中長期在留者又は特別永住者が入管法改正法の施行前から所持する外国人登録証明書については、一定の期間は(1)の在留カード又は特別永住者

     証明書とみなされる。

  (3)中長期在留者及び特別永住者以外の外国人に対しては、在留カード又は特別永住者証明書は交付されず、当該外国人が入管法改正法施行前から所持

     する外国人登録証明書は在留カード又は特別永住者証明書とみなされないため、当該外国人については、不動産登記規則第72条第2項各号に掲げ

     る旅券等の他の書類の提示を求めることになる。

 

3.不動産登記事務取扱手続準則の一部改正について(通達)(平成24年6月6日付法務省民二第1416号)

 

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