会社設立は司法書士か?行政書士か?

一般的に「会社設立」というと、会社設立登記のことを指すと考えられます。

 

もちろん、会社を設立した後は、税金関係の届け出であったり(税理士)、従業員の労災や雇用保険、社会保険の手続きであったり、助成金の申請(社会保険労務士)であったりと、手続きは様々ですが、会社は「登記」することにより誕生しますので、通常は会社設立とは「会社設立の登記」のことでしょう。

会社設立の「登記」については、基本的には司法書士しか代理権限がありません。(厳密に言えば弁護士もある場合がありますが)

よって、行政書士に依頼しても、行政書士ができるのは「定款の作成」、「定款の認証」までとなりますので、上記の意味での会社設立は、行政書士にはできません。

登記に関わる申請書を社長名義で作成したり(本人申請)、登記に必要な書類や申請書の作成等についての相談に乗ったりすることもたとえ無償であっても1度だけであっても行政書士はすることができません。

「業として行うことができない」とは、報酬をもらうことだけではなく、たとえば「定款認証の仕事を得るため」にその延長でサービスですることも、業としてすることにあたると考えられます。

行政書士の中でも、登記は外注で司法書士に依頼するきちんとした事務所もありますが、その場合は必ずご依頼者が司法書士への委任状に押印しているはずですので、その行為がない場合は、司法書士法違反の行為に加担している可能性があります。

依頼者側の立場に立つと、会社の設立=登記ができ、会社が誕生すること

であるので、電子定款認証のみを依頼し、あとはすべて自分で会社登記手続きをするとき以外は、行政書士に依頼する意味はないのです。

逆に司法書士は、会社設立登記を依頼されれば定款作成も電子認証の手続きもすることが可能ですので、会社設立は司法書士に依頼するのが正当です。

業界外の方には「司法書士」と「行政書士」の違いを知らない方のほうが多いのが現状です。

ですが、安易に行政書士に依頼することにより、知らないうちに違法行為に関わってしまっている可能性があることをより多くの方に知って頂きたいと思います。(行政書士自身でさえ、それが違法行為と自覚していないレベルの人も存在します。注:きちんとした素晴らしい行政書士もいますので、悪しからず・・・)

 

行政書士会のWEBサイトの表現も以前に比べればましにはなっていますが、やはり見た人に誤解を与える可能性は大きいです。

以前は、会社設立手続きは行政書士にはできるとあり、小さな字で「登記に関してはできない」と記載されていたと記憶しますが、今でも相変わらずな表現です。

会社設立に関しては、上記のように自分で設立するとき以外は結果的には司法書士に委任することになるのですが(税理士や公認会計士等を通して司法書士に委任しているケースもあります)、会社以外の法人は?となると少し話は違います。

設立に許認可等が必要な法人があります。たとえばNPO法人や、医療法人などです。

この許認可申請は、逆に司法書士には権限がなく、基本的には行政書士しかできません。

許認可が必要な法人を設立するためには、司法書士は登記部分しか代理ができませんので、何らかの方法で行政書士の関与が必要となります。

また、会社設立後に許認可が必要な業務を行うとき、たとえば建設業許可の必要な建設業、宅建業免許が必要な不動産業などを行うときにはやはり行政書士がその手続きを代理することになります。

会社や法人を設立しようとする場合は、どこに何を相談していいかが分かりにくいかもしれませんが、以上の情報が少しでもご参考になればいいと思います。

 

大阪の司法書士・行政書士 まえかわ でした。