分かれ決済で売主司法書士の費用は誰が出す?

大阪の悠里司法書士・行政書士事務所

代表のまえかわです。

関西方式で不動産の決済業務(司法書士の立会業務)をするとき、売主と買主両方に司法書士が別々に入ることは、珍しくありません。

その場合は、売主司法書士については、売主負担、買主司法書士費用については買主負担となります。

これに対して、関東方式では、基本的には、担保権の抹消等がない限りは、所有権移転にかかる司法書士の費用は買主が負担するのが通例です。

そこで、関西と関東で、売主と買主が離れていて、関西方式で別々の司法書士が付くことになった場合は売主の司法書士費用は誰が支払うのか?

という問題が出てきます。

厳密にいえば、これは、売買契約の際にはもうすでにどちらが負担するかを決めておく必要があります。

といいますのも、通常不動産売買契約書の中では、登記にかかる司法書士費用をどちらが負担するかという文言が入っていることが多いからです。

しかし、司法書士に決済の話が回ってくるのは、上記売買契約が完了したあとということもあります。

そして、売買契約書は誰が作るかといえば、一般的には、売主の仲介業者である不動産会社等が作成するのです。

売主の仲介業者が関西の業者なら、大抵は、司法書士費用はそれぞれ、売主に係る司法書士費用は売主、買主にかかる司法書士費用は買主、となっていることが多いと思います。

逆に売主側が関東の仲介業者なら、買主が登記費用をすべて負担 となっていることのほうが多いということになります。

そこで、実際に司法書士が決済の話を聞き、相手の仲介業者や司法書士と打ち合わせをしていくと、ややこしい問題が生じることもありえます。

関西では、売主の司法書士費用は売主が負担するのは当然という考えですので、買主さんが負担するのは嫌がりますし、関東では買主さんがすべて負担すると思っているので、司法書士としては、特に売主司法書士の場合は、結構辛い立場になると思います。

※実際わたしは、買主側の司法書士となることが多いので、それほど困ったことは今まではありませんが・・・

売買契約書の司法書士の登記費用の負担まで、売買契約までにお互いの意思を確認して決めてもらえるきちんとした仲介業者さんばかりではない(大手以外はほぼ、形式通りの売契書式を使っていると思ったほうがよいです)し、実際に売主さん、買主さんもそこまで確認してハンコを押していないことがほとんどなので、後で少しややこしい問題が出てきます。

いずれにしても、売主さんと買主さんで決めてもらうしかないのですが・・・。

安く売ってもらったとか、人気の物件を早い者勝ちで売ってもらったとか、逆にかなり長い間売れ残っていた物件がやっと売れたとか、さまざまな事情により、売主さん、買主さんの力関係や、その他関係も影響しますので、一概にどちらが負担しなければならないというものではありません。

結論としては、司法書士はつらい立場だということです。(汗)

悠里司法書士・行政書士事務所(大阪市福島区)