今でも申請書副本を不動産登記申請につけなければならないケースがあります。コンピューター化されていない改製不適合物件の場合。

大阪市福島区にあります

悠里司法書士・行政書士事務所 代表の女性司法書士の前川です。

たま~にあたる、コンピューター化されていない物件。

主に相続登記で、古い建物のとき当たることがあります。

今回は、福島区内の古い建物で、ネット謄本が取れず、紙の謄本しかでないコンピューター化されていない「改製不適合物件」の相続登記の件です。

「改製不適合物件」とは、何らかの事情により、コンピューター化することができず、管轄の登記所が紙ベースで登記記録を管理している物件のことです。

コンピュータ化されていない今回のようなケースで、普通の登記申請と異なる点は、

① 紙の謄本しか取れないので、事前謄本、事後謄本もネット謄本では取得できず、直接法務局に行くか、郵送で請求しなければならない。

② 登記申請は、オンライン申請はできず紙申請しかできない。

③「申請書副本」

いわゆる

「規則附則第15条第2項の書面」

を登記申請につけなければいけない。

※権利証が発行される登記の場合。

という点です。

普通は登記所はオンライン指定庁となっていますので、ネットで謄本も見れますし、オンライン申請ができ、登記申請後に発行されるのは「登記識別情報」

です。

それに対して、コンピューター化されていない場合は、登記識別情報は発行されませんので、昔の登記申請書のように、「申請書副本(申請書のコピー)」を添付し、それに登記所が登記済みの印を押した「登記済証」が、登記識別情報の代わりにいわゆる「権利証」となります。

「申請書副本」という響きがめっちゃ懐かしい。

司法書士実務に携わるようになったのがちょうど、平成17年頃で、不動産登記法の大幅改正後の微妙な時期でしたので、当時は申請書副本や原因証書をつけて申請していました。

ところで、実は、今回この「申請書副本」の添付を忘れ、追加で提出したのですが、思い返してみれば前回までの同様の登記申請の際は、一度も申請書副本を提出した記憶がない。

法務局で、申請書をコピーしてくれたものに、登記済印が押されていたと記憶しています。便宜そうして対応してくれていたのでしょう。

そのため、今回までつけないといけないのを知らなかった・・・。

いずれにしても、コンピューター化されていない物件が含まれていると、何となく気が落ち着かないというのはあります。

いつでも情報を手に取ることができる物件ではないという印象がします。

悠里司法書士・行政書士事務所(大阪) 代表 司法書士・行政書士まえかわいくこ

ご参照:

不動産登記規則附則第15条第2項

第六条指定を受けていない登記所の登記手続に係る登記の申請をするときは、登記原因を証する情報を記載した書面であって不動産所在事項、登記の目的及び登記原因その他の申請に係る登記を特定することができる事項を記載したもの又は申請書と同一の内容を記載した書面を提出するものとする。