国家資格である司法書士の試験は、一年に一度7月初旬に行われます。
午前に実体法、午後に手続法と丸一日かかります。
試験科目は、民法、会社法・商法、不動産登記法、商業登記法、憲法、刑法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法の11科目です。
このうち民法、会社法・商法、不動産登記法、商業登記法は主要科目で試験の肝心要の科目でここに力を入れなければ合格はありません。
残りの科目はマイナー科目と言われますが、主要科目とマイナー科目をいかにバランスよく学習するのがこの試験の難しいところです。
試験はマークシートですが、しっかり理解できていなければ正解するのが難しいレベルの問題が多数を占めます。
不動産登記と商業登記は記述式もあり、出題のケースに合わせた申請書を作成したり、登記の可否その論点を解答したりする問題です。
試験合格のポイントは、試験の3か月前ぐらいから集中的にすべての科目を効率よくまわすことと言われています。
ですので、合格者のほとんどが試験前に勉強に専念できる環境の人です。もちろん司法書士事務所の補助者をフルでしながら合格する人も中にはいます。
合格率は、大体2.8%ぐらいです。
上位から合格できる%がほぼ決まっているので毎年合格者のレベルはそれほど大きく違うことはありません。
これに比べて行政書士試験の場合は、上位何%ではなく、合格点が決まっているのでその年の試験の難易度によって合格率に10%以上の差が出ることもあり、行政書士有資格者のレベルは合格年によって相当な差があるのが実情です。(この点は相当問題であると考えます)
合格者の男女の比率は、ほぼ20%ぐらいが女性です。
司法書士という仕事は、細やかな配慮や相談者への柔軟な対応が必要な仕事ですので、女性が向いている職業とも言えます。
試験は、筆記試験だけではなくて「口述試験」が10月ごろにあります。
ただし、この口述試験はきちんと受けさえすれば落ちることはないので、筆記試験に合格すれば通常は司法書士試験合格となります。
合格者の合格までの受験回数は、2,3回の受験で合格する人が半数ほどを占めています。10回近く受けて合格する人も稀にいるようですが、受験科目が多く、集中的にする必要がある試験なので長期に渡れば渡るほど合格するのが難しくなるようです。
合格者は過去に比べると増えてきていて近年では、1年で約900人ほどが合格しています。
司法書士試験に合格したら、様々な研修を受けます。
そのため、司法書士は同期合格者との横のつながりが自然と広がります。
また、簡裁訴訟代理権の認定を得るために「簡裁訴訟代理等能力認定考査」を受け、合格する必要があります。
この考査を受けるには、「特別研修」を欠席や遅刻をすることなく完全にやり遂げなければなりません。
この考査の合格率は約6~7割程度です。
近年の司法書士の活躍を考えると、簡裁訴訟代理権は絶対に取得しておくべきです。
ここでの情報を読まれて、「難しそう」「これならいけそう」などいろいろな感想があるでしょうが、これだけははっきり言えることがあります。
「司法書士」という仕事は素晴らしい仕事です。
いろいろな士業の方とお会いし、情報を交換し、他の士業も魅力的ですが、私はやはり司法書士でよかったなと心から思います。
高い年収を目指す方は、おそらくこれからは司法書士ではなくて、「弁護士」や「公認会計士」、「税理士」を選ばれたほうがいいでしょう。市民に最も身近で色んな方面で力になれる町の法律家である「司法書士」という仕事に興味がある方は頑張って挑戦してみてください。
心から応援しております。