外国人(主に韓国人の方)の相続登記についての原本還付

大阪の悠里司法書士事務所 まえかわです。


当事務所では、在日韓国・朝鮮籍の方の相続登記に力を入れています。

この業務については、皆さまのお近くの司法書士事務所にご相談いただいても受けてもらえるかどうか、受任してもらえたとしてもその後スムーズにいくかどうかは分かりません。

要するに、在日韓国・朝鮮籍の方の相続の登記に特化している司法書士事務所でなければなかなか対応できない業務のひとつです。

韓国籍の方の場合、日本でいう戸籍のようなものが存在します。
昔は日本の戸籍と同様の制度でしたが、2008年1月1日より家族関係登録制度になり、形が変わってはいるものの、相続にを特定するためにはそれらの書類を含め過去の除籍謄本まですべて請求していかなければなりません。

さらに、それらの書類は韓国語で記載されているため、翻訳文を添付して提出します。

膨大なページ数です。

普通でも20~30ページ、多いときなら50ページ近くになることもあります。

そして、数年前までは何の疑問もなく、相続関係説明図を作成することによりこの韓国戸籍(以下、便宜こう呼ぶことにします)と翻訳を還付してもらっていました。
ところが、1年半ほど前に質疑応答で外国籍の相続の権利移転に関しては、コピーをつけなければ還付ができないと出ました。
※末尾ご参照。

これは大変です。

でも、大きい声では言えませんが、登記官でも外国人の登記が少ない法務局であれば、知らないことが多いのでとりあえずそのまま出すというのもありかと思います。

また、このことを知りながらも、在日の方の多い管轄などでは、コピーなしでよいという法務局もあります。

これまでは事前に法務局にコピーの添付の要否を確認して進めていましたが、結局そのことにより言わなければそのまま通る登記をわざわざ添付しなければならない結果になりうることに気づき(←遅い?)ました。
結論として、私が出すときは、とりあえずコピーなしで出す。
必要と言われたら出す。(当然、言われたらすぐ出せるようにデータなどで保管しておきます)
とするのがベストとなりました。


質疑応答

 

外国人が相続による権利の移転の登記を申請する場合において、登記原因証明情報として相続関係説明図が提出されても、外国の官憲が作成、または外国で発行された戸籍謄本等については、その写しが添付され4ない限り、原本の還付をすることはできない。

 

問 外国人から相続による権利の移転の登記が申請された場合において、登記原因証明情報として相続関係説明図が添付されていても、外国の件権が作成し、または外国で発行された戸籍謄本等の書面の写しが添付されていなければ、これをもて原本を還付することはできないと考えナスが、いかがでしょうか?

 

答 ご意見のとおりと考えます。


(登記研究778 平成24.12 より引用しています)