本日は、非常に実務的なお話です。
司法書士の不動産登記実務についてです。
複数の法務局に同時(同日)に登記申請したい。
でも、その複数の登記申請に必要な添付書類である登記済証が共通で1通になっている。
1つの法務局管轄にしか提出できないときはどうすればよいか?
具体的には、こんなケースです。
法務局Aには、
1 根抵当権抹消
2 所有権移転
3 根抵当権設定
法務局B、法務局Cには、
1 根抵当権抹消
2 所有権移転
を申請したい。
上記のうち、1の根抵当権抹消登記に必要となる 根抵当権者にかかる登記済証の一部が、法務局A、法務局Bおよび法務局C共通の書類となっている。
具体的には、共同根抵当権の追加設定契約証書などに複数の登記所の受付印が押されているものなどになると思います。
同時には別々の法務局に提出する登記申請書にひとつしか存在しない書類の原本を添付できません。
そのため、担保権設定がある法務局Aは何があっても先に消したいので、まずは法務局Aの申請に、登記済証をつけて申請。
登記申請をしたのち、原本を還付してもらうためには、登記が完了しなければできません。
よって、どこかの法務局にまず申請し、なるべく早く完了してもらって、次の法務局への申請と順次していくしか基本的にないです。
(念のため、先に還付してもらえるように一応交渉しましたが、A、Bいずれの法務局もダメでした)
上記のケースですと、法務局Aの登記が完了したら、すぐに法務局に該当の登記済証を受け取って、法務局Bへ提出。
法務局Bが完了して同様に法務局Cに持っていくということになります。
法務局が地方にあり登記申請の件数が少ないところであったり、件数が多い法務局でも混んでいなければ、事情を説明しておけば、便宜をきかせてすぐに完了させてくれる場合も多いと思います。
ただし、法務局の繁忙期などの場合は、ほぼ考慮してくれないと思ったほうが無難です。
わたしの場合もがっつり1週間以上かかりました。
よって、ご依頼者や金融機関などにはあらかじめ時間がかかることを伝えておくほうがよろしいです。
登記申請時点で、上記の法務局B、法務局Cにも当然遅れる旨は伝えておく必要があります。
事情さえ伝えておけば、多少遅れても却下はされないと思います。(登録免許税は納めておく必要はあります)
登記識別情報であれば、バラバラに作成されるのでこのような事態にはならないのですが、改正されてから15年程度ですので、まだまだ登記済証を添付するケースも多く存在します。
これから年数が経てば今回の記事のような面倒なケースはほとんど無くなっていくことでしょう。