さすがに10数年も司法書士を続けてきて、同じ登記申請を3回も出すことがあるとは、誰が想像できたでしょう?
ってわけで、本題ですが、先日このブログの別の記事で、事前通知で取下げになる件という内容を書かせていただきました。
今回の内容は、それに関するものです。
贈与を原因とする所有権移転登記。
ただし、義務者の方は権利証が見当たらない。
これが他人間の売買などでしたら、権利証が見当たらない場合には、司法書士が「本人確認情報」という書類を登記名義人等に違いないことを確認したうえで、司法書士の責任で作成して、登記を進めますが、今回は親子間の贈与で、既に贈与契約も終わっていて登記だけが済んでいない状態なので、わざわざ司法書士費用が余分にかかる「本人確認情報」ではなく、事前通知で進めることを提案し、
※ちなみに事前通知制度とは、通常登記済証・登記識別情報(権利証)の添付が必要な登記で、添付できない場合に、取り合えず権利証なしで登記申請をし、その後法務局から本人限定受取郵便等で送られてくる事前通知に登記申請のときに捺印した実印で捺印し、法務局に期限内に返送することによって、権利証なしでも登記を進めらるという制度です)
それで進めよう。
ということになりました。
が、そこからがメチャクチャ長かった。
直接お会いするのが難しかったので、本人限定受取郵便で義務者の方に書類等をお送りし、意思確認等をさせていただいた上で、
「登記申請の際には、再度同様な形で本人限定受取郵便が法務局から来ますので、受領して実印を捺印して、ご返送をしていただいて、初めて手続きが完了します」
という内容を、メールでも何度か、そして口頭でも数回お伝えしていた・・
にもかかわらず、一回目は、事前通知が受け取られず、法務局に戻っていった。
これで、一回目の取下げ確定。
事前通知の場合は、事前通知を受領しない場合は、登記は取下げ(原則は却下?)となり、再発送はされません。
あれだけ、伝えていてもダメか、と思いながらも、自分にも責任全くないとは言えないと思い、無報酬で、取下げ、そしてすぐに再申請。
「今度こそは、本人限定郵便の事前通知をきちんと受け取って、印鑑証明書の印影の実印で捺印して、早めに返送してくださいね」
とこれも、何度も伝えた。わたしなりには頑張った。
そしたら、また法務局から連絡があり
「実印ではないですね。」
と言われ、2回目の取下げ。
実印間違えて押しても取下げ(原則却下?)ですわ。一回の申請では、もっかい押し直しのチャンスはもらえません。
取下げって、今まで司法書士してきて、忘れたころに4~5年に一度するかしないか程度で、数えるほどしかしたことなかったので、
取下げと聞けば、取下書の作り方や、再使用証明の書き方など、慣れていないものを調べないといけないから、
「面倒やな~」
と思っていたけど、今回二回もすぐに取下げしたら、もう取下げもプロですわ。
「受付番号と、収入印紙の券面内訳、現金納付は、納付の金融機関と支店名お願いします」
って、登記官もびっくりするぐらいスラスラと取下げに必要な情報を羅列できてしまう自分が少し悲しい・・・。
でも、めげません。
さすがに、
「本人確認情報でしたら確実に一回でできますけど・・・」
と提案してみましたが、
「お金はないっ!!」
ということで、即却下。
3回目の申請です。
「ここまで来たら、何度でも出してやろうやないか!!」
って、変な覚悟ができてきます。
申請して、2週間、何事もなく無事終了。
当たり前のことやのに、長かったこの道のりを考えると、何となく達成感。(味わう必要のある達成感かはさておき・・)
なんでも経験ですね。
取下げだけは得意になりました。
ただ、取下げは上手になってもいい司法書士にはなれないよな~。
そりゃそうや。
1人で突っ込んでしまいました・・・。