取り合えず案件を受任するということを、絶対にしない理由。

司法書士、行政書士の仕事で一番重要なこと。

それは、

「説明義務を果たすこと。」

それに尽きるといってもいいぐらい。

トラブルの原因はすべてそこから起こるからです。

だから、

今すぐ依頼したい!

と嘆願されていても、二つ返事で受けることはまずありません。

特に相続や帰化については。

どちらの手続きも、条件を満たさなければ手続きを進められない。

帰化であれば、帰化の要件を満たしているかどうか、実質満たしていたとしても、添付書類に当たる書類を準備できる状態であるのか、証明書類が出せる状態なのか、これから状況が変わらないのか、

本当にたくさんの情報を頂かなくては、進められるかどうかは判断できない。

取り合えず、目先の情報だけで進められそう、で受けます!

ってことはしません。

なぜなら、途中ですべてが無駄になってしまうかもしれないから。

ご依頼者は、素人です。

依頼したら、最後まで当然進むと思っています。

だから、プロであれば、説明の義務がある。

自分なら、途中で進まなくなる理由があるなら、最初に知りたいし、知った上で進めるか、やめるかの選択肢を絶対に欲しいと思う。

ただし、これは、専門家の資質と経験によっては、なかなか簡単にはできないのも事実。

常に、効率的に進め、依頼者の負担にならずに進めるためにはどの段階で何をすればよいかを、逆算して今の仕事が決まる。

そのような仕事の進め方を、常日頃から研究し続けていなければ絶対にできない。

取り合えず受任するという人も多くいるようです。

それは自由です。

説明義務さえ果たしていれば、どちらでもOK。

ただし、説明なく、平気で途中でダメになってしまうのはプロとしては失格と言わざるを得ないです。

きちんと情報を引き出してあげて、手続きが最後まで進められることを確認し、途中で状況が変われば、進められなくなる危険性などもすべて説明して、納得頂いてから、進めれば、問題が起きる可能性は、限りなくゼロに近くできます。

相続でも同じです。

相続関係が複雑な人、他に相続人が見つかるかもしれない場合、などは、相続人を特定する書類がそろってからしか、本当に手続きが進められるかは分からないという点を重々説明したうえで、手続きは進めるべきです。

特に在日韓国人の方が関わる相続、年配の方の相続については、他に想定していない相続人が書類上出てくることも珍しくありません。

ご本人の情報からほぼ間違いなく、他に相続人がいないという場合でも、途中で他に相続人が判明した場合はそのまま進められなくなる説明もしますが、

特に、

「もしかしたら、他にもいるかも・・・」

「他はいないと思うが、自信がない・・・」

という場合は、進めても途中で止まる可能性が十分あるが、それでも進めてよいか?

と、きちんと同意を得たうえで進めます。

先日、同業の方からの依頼で、韓国の相続書類を収集する仕事を受けた際、既に見せていただいた書類に別の相続人が載っているにもかかわらず、そのまま受任された案件がありました。

流石に、きちんとご依頼者に説明はされているだろうと、そのままお受けしましたが、案の定途中で取りやめとなりました。

最初から直接、当職がご相談お受けできていたら、初回の説明で、手続き自体を進めなかったかもしれなかったのに、途中で辞めても司法書士報酬はかかるでしょうし、時間と費用が無駄になってしまいます。

「信頼できるプロの専門家は、あらゆる可能性を最初に説明してくれる人」

ご自身が直接やり取りをして専門家の資質を判断することによって、信頼できるプロを選択されることが非常に重要なのです。