定款を見れば分かる司法書士・行政書士のレベル

会社の登記をご依頼頂いた際に、会社の商業謄本(登記事項証明書)と定款を拝見させて頂きますが、定款を見ればその会社がどのレベルの専門家に頼んだのか、あるいは本人で頑張って設立されたか、などが手に取るように分かります。

その中でも特に司法書士が作った定款は、さすが会社法を理解して会社のことを考えて作っているなと思うものがほとんどで、これはかなりいい定款だと感じたときは、ご依頼者に確認するとほぼ間違いなく司法書士が作成した定款です。

 

それに引き換え、ネットで情報を集めてきて切り貼りして作っている、全体的な整合性がない、あるいは売っている本の雛型がそのままそっくり使われている、これは・・・と予想すると、行政書士が作ったものである場合が多いのです。中にはこだわって素晴らしいものを作っている行政書士もいるかとは思いますが、概して司法書士が作る定款とははるかにレベルに差があります。

 

これには理由があります。

行政書士試験と司法書士試験では、「会社法」の問題数も全然違い、問題のレベルも大人と子供ほどの差があるのです。

もちろん行政書士試験には「商業登記法」はありません。なぜなら行政書士は、「登記ができない」からです。行政書士が登記申請を出すことは「違法」です。一般の方の中には知らずに依頼して「違法行為」に加担していることもあります。

 

実際私も、両方の試験を受けたものとして、行政書士の試験の会社法の知識レベルでは、会社の将来や経営方針、株主構成などまで視野に入れた定款を作るのは、合格した後でも相当勉強した行政書士にしか難しいと考えます。

私が悔しいのはこれだけ司法書士と行政書士のレベルに差があるのに(あくまで一般的な話です。もちろん人にもよります。)、それをご依頼者が理解されていないところです。また、違法であること(行政書士が会社設立と謳って依頼させ登記も自分で出したり、提携司法書士に頼んでいると表面的には言いながら依頼者に司法書士への委任状に印鑑をつかせていない=自分で登記を出している)が、当たり前のように行われてご依頼者が誤解している状況です。なんとか変えていかなければなりません。

 

話がそれましたが、ご本人が作った定款に関しましては一目で分かります。 例えば半角と全角が入り混じっていたり、インデントがきちんとされていなかったり、専門家が作ったものとは内容以前に見た目が違います。 ただ、ご本人で作成されたものには、見た目はよくなくても、色々勉強されて自分の会社をよりよく経営していきたいという意気込みが感じられるいい定款が多いのです。

 

定款は会社の一番大切な根本規則です。問題が起きた時、定款の内容によっては、経営権をも左右されることもあり得ます。

大切な会社の設立は、よく調べられてレベルの高い専門家にご依頼下さい。

(あるいは 頑張って愛情をかけてご自身で作り上げてください(*^-^)