婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産を贈与したときの贈与税の配偶者控除を利用した夫婦間の自宅の名義変更(所有権移転)

自分の名義の自宅を妻または夫の名義にしたい。

あるいは、

今、自分が所有している不動産の半分を妻または夫名義にしたい。

というご相談は結構あります。

名義は簡単に変えれると思っていらっしゃる方がかなり多い。

実際、簡単に変えられるのは事実です。

「登記の名義を変える」

だけのことを考えれば。

司法書士の仕事である、不動産の名義人をご主人から奥さまに変更する

ということ自体は、お二人のご協力さえいただけれら全く難しくありません。

簡単にできます。 頑張れば自分でもできるかもしれません。

ただし、簡単にするのは危険です。

ご自身がちょこっと調べた知識だけで、贈与であるいは、適正な売買の対価を調べずに売買で所有権移転をしてしまうとあとで贈与税(低額譲渡益など)がかかってしまうことがあり得るからです。

弊所で、贈与などを原因とする所有権移転の登記に関して、個人の方からのご相談を頂いた際には、必ずかかる税金についてよくご確認を頂いた上で進めるようにしています。

ご依頼者の利益を損なう結果にだけは避けなければいけません。

そんな中、夫婦間で使われるのが婚姻期間20年以上の夫婦間での居住用不動産を贈与したときの配偶者控除を利用した夫婦間での贈与による所有権移転登記です。

基礎控除110万円とは別に最高2,000万円までの配偶者控除ができるというものです。

一応、念のため戸籍謄本は登記には必要ないものの、見せていただくこともあります。婚姻期間の確認です。

一度途中で離婚していた時期などがあると、そこはカウントされませんので、注意が必要です。

また、上記の所有権移転により名義が変わったらそれで終わりというわけではなく、上記の特例を受けるために、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に贈与税の申告をしなければなりません。

申告期限まで引き続き居住の用に供していて、かつその後引き続き住み続ける見込みであるという必要もあります。

個人間で不動産の名義を変更するときに、知らないうちに贈与税がかかるような法律行為をしてしまうということを避けるためにも、できるだけ専門家に相談、依頼するほうがあとあとご自身の利益が守られる結果になるはずです。

特に不動産は価値が高いだけに恐いです。

悠里司法書士・行政書士事務所(大阪市福島区)  代表 司法書士・行政書士まえかわいくこ