年末までに登記申請ができれば、翌年の固定資産税は新所有者に請求が来ます。不動産固定資産税が課税される1月1日現在の所有者と登記の関係

不動産固定資産税が課税される1月1日現在の所有者と登記の関係

固定資産税は毎年1月1日現在の所有者に課税される。

不動産にかかる固定資産税の課税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されます。

納税義務者は1月1日現在の所有者となりますので、途中で所有者が変わっても、納税義務者は変わりません。

そのため、年の途中で売買などで所有権移転をする場合も、不動産売買の決済の場で、移転の日までの固定資産税を日割り計算して、買主が売主にその年の残りにかかる分を売買代金(手付がある場合は売買代金残額)の決済の際に同時に精算するのが一般的な実務の流れです。

ここに関しては、不動産売買契約書上、1月起算にするのか、4月起算にするのかで売主、買主の負担が変わってくるなどという論点もあります。

登記の変更(所有権移転)と1月1日現在の所有者との関係

そこで、この1月1日現在の所有者と登記の関係はどうなるか?というのが司法書士の業務では重要なところになってきます。

結論から言うと、

「登記の受付が、年内に行われれば、翌年度分は新所有者に課税される」

ということになります。

具体的には、本年度ですと、

登記簿上の「受付年月日・受付番号の欄の記載が、

「令和2年12月28日第〇〇〇〇〇号」

となっておれば、令和3年1月1日現在の所有者は登記簿上の新所有者となる。

逆に言えば、令和3年に入ってから登記申請を出した場合は、たとえ登記の原因日が

「令和2年12月28日売買」

となっていても、結局 受付年月日は令和3年〇月〇日となるため、前所有者に課税となります。

また、令和2年度中に登記申請を提出したとしても、補正などの取下げなどで、登記申請の出し直しなどになる場合は、同じく前所有者に課税となってしまいますので、課税を新所有者に必ずしたい場合いは、登記の専門家である司法書士によくご相談いただいて進めるほうがよろしいです。

年内に登記を完了して、納税義務者を新所有者とすることが望ましいケース。

前述のとおり、仲介業者をいれたきちんとした売買の実務では、残額売買代金の決済の際に固定資産税の日割りで精算するので、年を超えての決済でも買主の当日の負担額は多くなるものの、売買の場合はそれほど大きな問題はないかもしれません。(ただし、実務的には年内に登記申請を終わらせることが多数かと思います)

ところが、財産分与を原因とする所有権移転などの場合には、円満に離婚が成立していない場合もありますので、財産分与をした側が相手と連絡を取りたくないために、そのまま1年分の納税をしてしまうこともあります。

また、財産分与による名義変更がやっと終わったと思っていたら、春ぐらいに納税通知書が届いて、また固定資産税を返してもうらために連絡を取らないといけないなど、簡単に連絡を取れない、あるいは取りなくない相手に所有権が移転する場合には、特に年をまたぐかまたがないかという時期に出すときは、何が何でも年内に出したいとなるケースがあります。

さまざま要因を考慮して登記を進めていくことが司法書士には求められていると実感しております。

悠里司法書士・行政書士事務所 代表 司法書士・行政書士 まえかわいくこ