決済が伴う(根)抵当権抹消の登記の見積もりを司法書士が作成する際には注意が必要!

一般の住宅ローン返済などに伴う、抵当権の抹消登記ってどちらかというと登記の中ではまだ難易度は低いほう。

司法書士に頼まずに、自分で何とか法務局に何度か通って申請する方も中にはいます。(今はコロナの影響で、法務局の相談予約が取りにくく、司法書士に依頼される方が増えているようですが・・・)

今回の記事での話題はそのような、いわば、少しぐらい遅れても全く問題ない、事後的な登記の話ではなく、不動産売買の決済が伴う担保権の抹消のお話です。

一般の方向けに少し説明いたしますと、

不動産の売買を行うときに、売主が不動産購入の際に借り入れをした金融機関等の担保権(抵当権や根抵当権)がその売買の目的となる不動産についていることがあります。

事前にこの(根)抵当権等を抹消しておけば問題ありませんが、大抵は、売却して入ってきた売買代金をもってこの(根)抵当権等に担保されている債務を返済することになりますので、この担保権抹消の登記は本当に一番重要と言ってもいいぐらい重要で、司法書士にとっては、非常に責任が重い仕事です。

ですが、この抹消登記の報酬は、一般的に安い。

正直、手間と労力に比べたらメッチャ安すぎる。

ただ、なぜか抹消の登記はそれほど高く見積もることができないのが、司法書士の辛いところ。

なぜなら他の司法書士もそれほど高くないから、自分も取れない。

とはいえ、単なる抹消でも、手続きはケースバイケースで異なるのがこの手続きです。

費用が安くできないケースに大きく下の二つがあります。

1.当日に遠方まで抹消の書類を取りに行かないといけないケース。

これは、金融機関によっては、支店などが決済場所の近くにはなく、決済場所から数時間もかかる場所まで当日中に抹消の書類を受領しにいかなければならない(例えば大阪で決済なのに、抹消書類は東京で受け取りなど、何人かで手分けするか、しないと厳しい)場合などです。

これは、距離的な問題以上に、時間的余裕がなく、本当に精神的に司法書士は疲れます。

正直、買主さんよりもっとずっと報酬を上乗せしたいし、場所によってはせざるを得ないです。

2.抹消の対象の(根)抵当権者が登記識別情報を作成していないケース。

この場合は、司法書士が本人確認情報という書類を作成しなければなりません。 代表取締役や代表理事などから支店長などあてに作成した業務権限証書や本人確認資料を確認しつつ、実際に金融機関等に訪れて支店長なりの本人確認をしなければ作成できません。

さらに、この金融機関が遠方の場合は、出張が発生します。(これは、本職が面談しなければならないですから結構負担です)

司法書士の責任をもって、識別情報の代わりの書類(本人確認情報)を作ります。

売買の場合でも、抹消の見積もりは司法書士は安く案内しがちです。

ですが、簡単に

「大体報酬は1万円ぐらいですかね~」

と伝えてしまうと、上記のようなケースに該当すると、

「あっ、やっぱりそれではできまへわ~」

とは関係によっては言いにくいことも有り得ます。

抹消に関してだけは、すぐに費用は伝えることなく、抹消金融機関等に当日の流れ識別の有無など確認したうえでの見積もりをすることが安全です。

先日から決済のときの抹消に関する記事を頻発していますが、本当に抹消は決済の中で一番神経を使うしごとです。

悠里司法書士・行政書士事務所(大阪市福島区) 代表 司法書士・行政書士まえかわいくこ