株主総会による解散から会社継続で復活する場合の、取締役選任の株主総会議事録に押印する印鑑は?(取締役会非設置、1人取締役=代表取締役の場合)

会社、法人の登記のお仕事もそれなりにしていますが、解散後の継続というのは、どちらかというとかなり数が少ない部類の登記となります。

その中でも、みなし解散で解散になったあとの継続ではなく、株主総会により解散した会社の継続は、さらに件数は少なく、たま~にしか当たりません。

先日、久しぶりに、株主総会決議で解散して、5年ぐらい経った懐かしいお客さんから連絡が入り、会社を復活させたいということでお受けしました。

元々と同じ、取締役非設置会社で、取締役=代表取締役の1人会社として復活です。

現状登記簿は、この取締役になる方が清算人=代表清算人として登記されています。

今回は、株主総会で継続の決議と、取締役の選任の決議をすることになります。

で、本題に入りますが、

「この株主総会議事録に押印する印鑑は誰の何の印鑑か?」

というのが、今日のメインのお話です。

通常、株主総会議事録には、出席取締役全員が押印したり、株主議事録作成者だけが押印したりします。

特に制約がなければ、株主議事録作成者のみの押印(通常は代表取締役の名前で、法人印を押します)で作成することが多いこの書類ですが、決まった印鑑の押印が求められるケースが中にはあり、その場合は、その状況に合わせて、適宜変えます。

今回の話に戻りますと、1人会社ですので、押印は代表清算人である人がする。

「問題はどの印鑑で?」

なのですが、結論から言うと、

「個人の実印」

です。

ご参照:e-GOV法令検索より引用

商業登記規則第61条

6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑

二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑

三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

どういうことかと言いますと、代表取締役を定めた議事録には、原則として、個人の実印で押さなければいけない。ただし、変更前の代表取締役等が登記所に提出している印鑑(届出印)が押印されていれば、個人の実印で押さなくてもよいということです。

この、「変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑」 というのは、通常法人実印になるはずですが、今回は、代表清算人であって、「変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑」ではない。

また、今回は、1人取締役なので、取締役としての選任が=代表取締役の選任となりますので、たとえ、議事録上で代表取締役として選任している記載がなくても、この印鑑は、個人の実印を押印しなければならないとなります。

代表取締役変更のときや、上記のケースでも取締役が二人以上いれば間違えることなさそうですが、

あまりしない登記のときで取締役1人のときは、意外と盲点です。